再生可能エネルギーの未来

新型コロナによる世界的なパンデミックによって、各国が社会的そして経済的に非常に深刻な悪影響を受ける中、「炭素排出量の減少」と「大気汚染の緩和」は、数少ない良い変化と言えるでしょう。しかし、その一方で、イェール大学の研究によると、アメリカをはじめ各国の資金が急減しているため、最先端のクリーンエネルギーの先行きは必ずしも明るくないように思えるかもしれません。

私たちエキスパートコネクトアジアは、クリーンで環境的に持続可能なビジネスには多くの可能性があると信じています。今回、同分野の有識者であるENGIE Factory Asia Pacificのベンチャービルド担当ヴァイスプレジデントであるマリー・チョン氏に詳しいお話を伺いました。

世界的なパンデミックによって需要不足と過剰供給が生じ、石油価格は暴落しました。 これは回復するでしょうか?それともポストコロナの世界では、他の形態のエネルギーが取って代わるでしょうか?

石油価格が不安定になることで、リニューアブル関連のプロジェクトはより魅力的になると思っています。なぜならば、石油のような需要/供給問題に左右されにくいからです。同様に、今回のパンデミックで予想される低金利により、リニューアブル関連のプロジェクトの「コスト」は下がるでしょう。BP社の調査では、再生可能エネルギーは2040年までに、エネルギー源として石炭を追い抜くと予想されており、現にイギリスでは既に今年、再生可能エネルギーが化石燃料を追い越しています。3つの「D」、すなわち、脱炭素化(=Decarbonization)、分散化(=Decentralization)、デジタル化(=Digitalization)の3つの「d」が、エネルギーの未来を明確に示しています。

困難な状況下にありながら、どのような新しいイノベーションが生まれるのでしょか?また、それらの将来への影響はどのようなものでしょうか?

近年の気候変動対策への世界的な動向から、クリーンテック分野への投資は増えてきています
地球の気温が2度以上上昇するのを防ぐには、「大規模なイノベーション」が必要になります。この分野では例えば、より優れたエネルギー貯蔵ソリューション、二酸化炭素回収技術、EV開発など、いわゆるディープテックやR&D主導の投資についてよく耳にします。

開発サイクルが長いため、投資リターンの観点から従来、ベンチャーキャピタル投資においてクリーンテックは魅力的とは言えない分野でしたが、一方で近年の気候変動対策への世界的な動向から、同分野への投資は増えてきています。

この分野ではハードウェアとディープテックのイノベーションが必要である一方で、「ビジネスモデル」のイノベーションについては、あまり耳にしません。私たちENGIEファクトリーでは、顧客に素早く価値を提供することで収益と成長の可能性を提供する、商業的・ビジネスモデルの観点からのイノベーションに、必ず狙い目があると考えています。

エネルギー分野でのビジネスチャンスを見つけることは、初めて起業するファウンダー、特にエネルギー業界経験の無い人にとっては難しい場合が多いかもしれません。だからこそ、私たちは、エネルギー業界の経験が無くても同分野での起業にチャレンジ出来るよう、独自の「ベンチャービルド・プログラム」を創りました。このプログラムでは12週間に渡って、同業界に関する私たちの知識を活用しながら起業家たちに伴走し、ベンチャー投資に足りうる機会を見つけるまで、アイデアを考え、反復し、プロトタイプを作成し、実験していきます。BillionBricks、Tablepointer、EVDots、SolarAIなどの当社の投資先が示しているように、お客様の切実な課題を見出し解決し急成長していくスタートアップを立ち上げて、従来のように多額のR&D投資や長期に渡る開発をすることなく無く、「ゼロカーボン社会」への移行に貢献するビジネスチャンスは沢山あるのです。

代替/グリーンエネルギーの必要性に対する関心は高まる一方です。個々人の見解がどうであれ、昨年のグレタ・トゥーンベリさん率いる気候変動運動や、米国のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員のグリーンニューディール政策など、労働人口中で最大比率を占める「ミレニアル世代」そして更にはZ世代などの若い世代が、地球温暖化について高い関心を持ち変化の必要性を感じていることかが分かるでしょう。

大企業もこの動きに応え、たとえば、イケア、ジョンソン&ジョンソン、グーグル、アクセンチュア、アビバなど、世界のブルーチップ企業を含む「RE100カンパニー」は、2050年までに100%再生可能資源からエネルギーを調達することを約束しています。

パンデミック中、大都市の空気がきれいになり、都市部に野生動物が戻ってきているというニュースがあります。コロナ後のエネルギー消費はどのように変化し、その影響はどうなると思いますか?

答えを出すには時期尚早だと思います。新型コロナウィルスは経済活動に非常に大きな影響を与えると予想されています。ここシンガポールでは、建国独立以来、最悪の不況と言われており、インダストリアル・製造業、航空・旅行など幾つかの業界には深刻な悪影響をもたらしており、「ワーク・フロム・ホーム」が強く推奨されていることから、通勤やオフィス使用等における変化は、エネルギー消費に大きな影響を与えています。また個人単位でも、コスト意識が高まるにつれて、家庭での消費パターンも同様に、一過性のものは無く、様変わりしてしまう可能性があります。

と同時に、先行きへの深刻な不確実性、このパンデミックによる健康や経済への打撃の中で、今までとは違った生活や働き方を考える絶好の機会でもあります。

例えば、現地化への移行、従来のような頻繁な海外出張の必要性への疑問、都心部の機能の再考等があげられます。これらは、エネルギー消費には前向きな影響を与え、グリーンソリューションと社会・経済・環境の観点からの「持続可能性」に向けた意識的な動きの始まりになり得るでしょう。私はこの絶好の機会が失われないことを切に願っています。

ENGIEファクトリーなどのコーポレートベンチャーキャピタルは、持続可能な未来への道を描くのに、どのような役割を担っているのでしょうか?

コーポレートベンチャーキャピタルの強みは、特定の業界における深い知識・リソース・ネットワーク・顧客へ迅速なアクセスに、スタートアップのスピード感とフォーカスを組み合わせることにあります。

いわゆるスタートアップの世界からきた私には、ENGIEファクトリーが力を入れているエネルギー効率、グリーンモビリティ、スマートシティ、再生可能エネルギー、持続可能かつ収益性の高い成長などの「ゼロカーボン」に関するテーマはとても新鮮でした。

ENGIEファクトリーは「エコシステムビルダー」であり、脱炭素への移行におけるアジアパシフィック地域のハブになることを目指しています。上述したように、私たちの「ベンチャービルドプログラム」は、エコシステムにおける課題、つまり「エネルギー業界の経験が無い」ものの、脱炭素化に一石を投じたいと考えている起業家を支援するために作られました。私たちにとって最も重要なことは、大企業と共創していく価値を十分に理解し、私たちと価値観を共有した上で新規事業を興せる最適な「ファウンダー」を見いだすことです。ENGIEファクトリーは、幅広い意味でENGIEグループにとっての戦略的便益、そして最も重要な「地球と社会にとっての便益」とのバランスの良い成長を目指しています。
ExpertConnect Asiaは、東南アジアを中心に「各界専門家」ネットワークを組織化しています。それぞれの業界に精通した「C-Suite(CEOやCOO等の幹部経験者)」や経験豊かなオピニオンリーダーが、新型コロナ後のニューノーマル時代に生じる変化とビジネスチャンスに関して、アドバイスいたします。ご利用は1時間単位から可能です。

詳しくは、https://expertconnect.asia/generalenquiryjpからお気軽にお問合せ下さい。
エキスパート: マリー・チョン
ベンチャービルド担当ヴァイスプレジデント
ENGIEファクトリー
取材: ダルン・ジャナーサン
プロジェクトアソシエィト
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