eコマースの未来

小売業界は2020年、世界全体でUSD2.1兆ドルの損失が見込まれ、新型コロナのパンデミック以前の成長レベルを回復するには4年は係る見通しと言われています (Forrester社調べ) 。世界中で、店舗が閉鎖されオンライン上での買い物を余儀無くされました。この傾向は続くのでしょうか?新型コロナウィルスをきっかけに、eコマースに更なる変化は起こるのでしょか?
我々ExpertConnect Asiaは、ViSenzeのCEO兼共同創設者であるオリバー・タン氏にお話を伺いました。

新型コロナにより、eコマースの売り上げは大幅に増加しました。
この傾向は今後も続くと思われますか?

新型コロナによるロックダウンの最中には、移動が制限され、安全性が第一の関心事になったため、消費行動がデジタルコマースへと急速にシフトしました。ヘルスケア製品や食品等の生活必需品に始まり、あらゆる買い物はオンラインでという流れに一気に変化したのです。6月に発表されたばかりの新型コロナの影響に関する弊社ViSenzeの独自調査によれば、2020年1月から4月の期間、ヘルスケア、美容、食品・飲料、靴、衣類カテゴリーが一番の受注実績を残しました。全世界の4月のファッション関連のオンラインストアの販売収益は平均で前年比21%増加、Amazonでは2020年第1四半期の前年比売上は26%増となりました。

ということは、従来の小売店舗やショッピングモールは、行動制限や店内でのソーシャルディスタンスの確保、その他安全への関心などの影響を受け続けるので、こうした不安を払拭するデジタル体験を可能にしたeコマース等のショッピングチャンネルは、新しい買い物のパターンとして、さらに台頭してくると言えるでしょう。
GlobalWebIndexのレポートによると、全世界の消費者のほぼ半数は、ロックダウンの緩和後も「しばらく」または「長期に渡って」従来の店舗には戻らないと言っているそうです。

私たちが学び、改善できることは何でしょうか?

事業内容を速やかに再考し、ニューノーマル時代のデジタルプラットフォームを導入する好機
新型コロナウィルスにより、私たちは多くのことを学び、特に様々な業界で「デジタル」への転換については今まで以上に考えさせられています。もちろん小売業もその一つです。小売店にとって従来の店舗再開のために運営上・戦略上熟慮することが重要な一方で、そもそもの事業内容を速やかに再考し、ニューノーマル時代のデジタルプラットフォームを導入する好機でもあります。当面、適応・革新すべき分野は次の4つだと思います:

1. 店舗の再開はあらゆる点で本質的に以前とは別のものに

· であれば、どのようにして顧客と従業員の安全を保ちながら、顧客の生活における新しい役割を担うのか?例えば、小売り店側は顧客が店舗にいる間もしくは来店前に、店舗の在庫をオンラインで検索する方法を提案できるでしょうか?


2. 顧客の価値観や行動は変化している

· では、この「変化」とは具体的に何でしょうか?例えば、棚の商品に触れることを不安に感じているのなら、代わりにバーチャル試着や見本を提供することは可能でしょうか?


3. 店舗はカスタマージャーニーにおける新たな役割を担っていく

· 店舗は最終目的ではなく、カスタマージャーニーの一部としてのみ捉え、購買までに今までとは違った多角的な展開を考えるべきでしょう


4. 営業再開の取り組みは既に始まっている

· 走りながら考えましょう。先ずは、店舗での安全対策、オンライン注文の配送の提供、ピックアップソリューション等、消費者の変化を的確に理解し対応していくことが大切です

eコマースをさらに躍進させるため、新しい技術を用いたイノベーションのどういった点に期待が持てますか?

新型コロナによって、80%の小売業者やブランドが、実際の小売チェーンとオンライン販売の両方で、オペレーションや顧客サービスで、AIの活用が加速するでしょう。

そうでなければ、顧客ニーズがつかめずに衰退し倒産してしまいます。店舗がカスタマージャーニーにおいて今までとは異なる役割を担うことを小売店自身が認識する必要がありますから、こうした新しい技術によるイノベーションに適応することは、長期にわたり大きな影響があります。

小売業の将来において、速やかに採用されていくであろう変革・ソリューションは5種類あると考えます:


1. バーチャルリアリティ/ 3Dテクノロジー

買い物客を実際の店舗に呼べないとなれば、どうやって顧客に訴求すれば良いのでしょう?答えは、バーチャルでの製品サンプリング、仮想ショールーム、さらには仮想モールです。これらのテクノロジーには付随する利点があります。リーバイスを例にとって見ましょう。顧客を引き付けるのみならず、運用面でも合理化ができます。サンプリングやデザインに3Dテクノロジーを導入したことで、従来型の販促サンプルを大幅に削減できました。

2. インテリジェントビジュアル検索、音声、ライブストリーミングなどのスマートインタラクティブAIソリューション

小売の多角展開には、スマートフォン等の身近なデバイスにさえ、インテリジェントテクノロジーを搭載することが、より重要になります。例えば、Instagram等から製品を認識し一致する製品をすぐに表示できるAIを搭載したスマートフォンのショッピングレンズは、今や一般的な機能であり、これからさらに便利になるでしょう。販売員がインタラクティブなビデオストリーミング形式でオンライン上で接客できる会話型コマースや、ライブストリーミングも同様です。

3. 自動(無人)店舗

新型コロナへの感染リスクを減らすため、買い物客同士が一定の距離を保つ「ソーシャルディスタンス」に意識が向く中、AIを用いた自動接客、顔認証、セルフレジなどは、実店舗での購入を前向きに捉えてもらえます。さらには、店舗で見た商品の検索といったオンラインウィンドウショッピング、予約制ショッピング、セルフピックアップ等、オンラインと実店舗それぞれの利点を活かして購買までの一連の流れとして効果的に統合していくことも可能です。

4. 個人ごとにカスタマイズされた提案ソリューション

新型コロナによって、今までの消費行動が取りにくい状況は続き、さらに多くの買い物がオンラインで行われるでしょう。ということは、家庭の消費、そして個人の消費の行動を理解するには、さらに多くのデータと計算が必要になります。その買い物が、個人向けなのか家庭向けなのかをどう区別するのか?ここで、アルゴリズム解析の出番です。消費者の好みと購入に至る意思決定を理解し、家庭内の各個人に適した提案ができます。

5. 需要の予測

中国に端を発した新型コロナウィルスによる多くの国でのロックダウン中、世界のサプライチェーンは激しく混乱し、小売業を含む様々な業界に大きな影響を及ぼしました。コロナ後は、価格変動、スピード感、競争などが不安定になるため、需要と供給のパターンがより複雑になる可能性があり、小売業者は需要を正確に予測しながら、依存関係を減らし、供給能力を最大限に活かすことが求められます。デマンドセンシングは非常に複雑なので、予測のリスクとエラーを最小限に抑えるために膨大な量のデータを処理する必要がありますが、これが出来るのは優れたAIだけなのです。

最近はスマートシティに関する話題が多く聞かれますが、eコマースの役割はどこにあるでしょうか?

商品の売買はどの大都市でも日常の活動です。しかし、eコマースは単に商品を購入するだけのものではありません。シームレス決済、物流計画、保管、サイバーセキュリティ、需要予測、在庫管理が一体となって小売のエコシステム全体を形成します。製造から倉庫での管理、購入から配送までが一連の流れです。ですから、eコマースは、スマートシティ計画の非常に重要な部分を占めています。 例えば、マレーシアの首都クアラルンプールでスマートシティプラットフォームを展開している中国のeコマース企業Alibabaのクラウドコンピューティング部門を見てみましょう。これは、同社の人工知能プラットフォームである「City Brain」を中国国外で初めて導入したものです。これは2016年に同社の本拠地である杭州で採用されたものですが、Quartzによれば、このシステムは、300の信号機と500のカメラをつないで、クアラルンプールの渋滞を緩和する交通ソリューションを提供しています。この映像・画像認識、データマイニングや機械学習を通したソリューションは、他の都市の問題を解決するためにも応用できるでしょう。
ExpertConnect Asiaは、東南アジアを中心に「各界専門家」ネットワークを組織化しています。それぞれの業界に精通した「C-Suite(CEOやCOO等の幹部経験者)」や経験豊かなオピニオンリーダーが、新型コロナ後のニューノーマル時代に生じる変局とビジネスチャンスに関して、アドバイスいたします。1時間単位でのご利用が可能です。
詳しくは、https://expertconnect.asia/generalenquiryjpからお気軽にお問合せ下さい。
エキスパート: オリバー・タン
CEO, ヴィセンズ
取材: ダルン・ジャナーサン
プロジェクトアソシエィト、エキスパートコネクトアジア
Expert Insights
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